人気ブログランキング | 話題のタグを見る

都立総合芸術高校実技試験について

セイビでは、美大受験だけではなく、美術系高校受験も扱っています。
去年は、都立総合芸術高校に2名受験して2名とも合格しています。
一人は推薦試験で合格し、残る一人は一般入試で合格しました。
女子美術大学付属高校受験生もおりましたが、推薦で合格しました。
毎年2―4人程度が美術系高校受験に挑み、全員合格させています。
都立総合芸術高校実技試験について_f0234596_14565594.jpg
都立総合芸術高校実技試験について_f0234596_14565572.jpg

最近の都立総合芸術高校の受験は、高倍率で推移しているせいもあって、難易度も上がってきています。一年間しっかりと実技の用意をしないと、合格は難しくなってきています。
都立総合芸術高校の実技試験は、推薦試験が卓上構成による鉛筆デッサンであるのに対して、一般受験の実技では着彩に変更されます。受験生は、鉛筆デッサンと着彩の両方ができるようにしなくてはなりません。おまけに推薦入試と一般入試の期間がひと月とずれずに実施されます。もし推薦入試で残念な結果だった場合、すぐに着彩を始めなくてはならず、これが大変です。「推薦入試で合格したい」と思ってきた受験生にとって、不合格を知った翌日から着彩に変えて対策をとるのは、かなり辛いものです。
そのうえ描写のレヴェルが美大入試と比較しても遜色のない程度には描けていなくてはなりません。
これを中3でこなすのは、かなり大変だといえます。
前回の受験生達はみんな、美大受験生と変わらないか、ともすればそれ以上に頑張りました。
セイビでは中学生たちも、美大入試の高3生たちとともに並んで描いています。
これは単に狭いからなのですが、笑 そのせいでかなり高度な描写まで理解していけるようです。
これから都立総合芸術高校等を受験しようとお考えの方がおりましたら、はやくからの学習を、強く、お薦めします。

参考までに、去年の合格者の作品をあげておきます。
試験直前の作品で、時間制限をしています。
卓上構成は2時間半程度で仕上がるところまで来ています。
実際の試験時間は3時間ですが、30分早く仕上げ、残りの30分で、密度をあげるように指導しています。
用紙サイズはB3画用紙。

試験のポイントと考えられることについて
都立総合芸術高校のデッサン

1 卓上に置いたモチーフを構図良く配置できるか。
  ふつう、「構成する」といいますが、まあ、配置することです。構図が小さくならず、全体が描けるように納まり、奥行きと空間がきちんと表現されているか。これができていないと、いくら描いても、見せ場もなくなってしまいます。また台の水平感が表現できているかもポイントでしょう

2 遠近法の理解が正確か。
 二点透視による遠近法を用いて、しぜんな遠近感が出ているか。同時に垂直水平が描けているか。あと比率等は適格か。このあたりは、かなり的確に表現して描かないとならず、垂直などは、中学生にとって気づきづらく、なんとなく歪んだ立体を描きがちです。数ミリ単位での補正ができると良いのですが。

3 質感と描写、陰は的確か
 質感の描写とは、そのものらしさなのでしょうが、ちゃんとみて描きこまないとうわべだけの描写となってしまいます。とにかく観察すること。些細な事柄についても描きこむこと。そして陰影。どちらかというと、影の描写のほうが、神経を使ってほしいくらい大切です。適当に影をえがけば、すべて台無しとなってしまいます。
 

都立総合芸術高校実技試験について_f0234596_18161068.jpg

都立総合芸術高校実技試験について_f0234596_18161066.jpg

都立総合芸術高校実技試験について_f0234596_18161053.jpg

次に着彩。一般入試数週間まえです。時間は4時間半程度。実技の試験時間は5時間です。
透明水彩のみを使用しており、アクリルの混合技法は用いておりません。
そのぶん、失敗のできない、難易度の高い描法です。
画用紙のサイズは実際の試験と同一です。

試験でのポイントについて
都立総合芸術高校の着彩

1 デッサンで学んだことがきちんと理解されているか。
 色彩を用いたときに、デッサンのことを忘れてしまうと、万事休すとなります
デッサンのとき必要とされる展は漏らさず的確に描いた上での、色彩なのです

2 明度と彩度の問題と、混色を理解しているか
 色には固有の明度があって、立体表現の基本となるのは明度差です。明るい所と暗い所をどのくらいの差をつけて描くのか、乾燥すると彩度も明度も落ちてします水彩で、的確な明度で描き分けるのは、慣れなければできません。

3 色彩感覚があるか、感じられるか
 主観的な要素ではありますが、色についての感覚を持っているのか。また、色を用いるのを怖れず、好きか。
都立総合芸術高校実技試験について_f0234596_18161039.jpg

都立総合芸術高校実技試験について_f0234596_18160930.jpg


都立総合芸術高校実技試験について_f0234596_18160947.jpg

大まかな試験のポイント等についてあげておきましたので、来年度受験をお考えの方は、参考にしてみてください。実技試験の詳細について、説明されているところが少ないようですので、中学生の指針となればと思います。ただ、ここで書いたことはあくまでセイビで考えていることであって、客観的な資料や情報は高校の先生方にお聞きになることをお勧めいたします。

by seibi-seibi | 2019-04-08 15:19 | 芸大 美大受験


<< ライフマスクの製作 2019年度 一学期開始します >>