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セイビは創立44年目です。

ときどき、「いつからやってますか?」という質問を受けます。
セイビは1975年からやっております。
英国でマーガレット・サッチャーが首相となり、ザ・ピーナッツが引退し、キャンデーズが「年下の男の子」を唄い、テレビでは「戦隊シリーズ」が放映開始。スピルバーグの「ジョーズ」が封切られた年。
もう半世紀近く前のことです。

当時は「受験戦争」のまっただなか。
中学も高校も、受験予備校化していました。
若者たちは偏差値で将来が決まってしまう、といっても過言ではなかった。
「良い進学」こそが、すべてのような風潮の中で、流され彷徨っているのが、当時の中高生でした。

そんななかで、セイビは開所しました。
当時は美術というと、「進学には無用の科目」であり、しばしば授業はつぶれてしまい、気がつけば、
英語教師が教壇に立っておりました。
「受験は大変で、つめこみばかりだ。置いてきぼりの落ちこぼれには将来はない」
当時の若者は、心の奥でそう考えていた、と思います。

セイビは、このときの心境を原点として、美大受験に挑んでいます。
当時真ん中より下にいて、劣等感と焦燥感に悩まされていた、その記憶。
受験を否定しようにも、それはありつづける。
だしとたら、なんとかみんなが納得して、希望を持って進学できるような仕組みに変えられないか。
「がんばったけれど、なんのためだったのか分からない。劣等感は残った」ということのないようにできないか。

進学のために受験するのですから、それは厳しい競争です。
競争はどこにもあって、それに背を向けていられないのです。
しかし、がんばれば、なんとかなる。そして、志望大学に入れる。

つまりそれは、「夢がかなう」ということ。

自分の努力が報われて、夢がかなう、同時に達成感がある。

これは人生において必要なことです。

そこで、「とにかく全員を、一年で、合格させよう」と考えたわけです。
長期間の美大受験生活は、スキルアップには有効なのですが、歪みもまた生みます。
全員合格。そのためには、一人ひとりと向き合わなくてはなりません。
全員同一カリキュラムでは、できないことなのです。
そして、もう少しなのにダメだと思っている生徒。
自分はそんなポテンシャルはないと、勝手に思い込んでる生徒。
そういう生徒に寄り添って考えていきます。
それは妥協ではなく、戦う術を身につけさせ、立ち向かわせる勇気に火をつけることです。

これは実際難しいのです。

それでも、セイビでは、最後にはみんな、元気に巣立っていきます。
「やればできた」
「ムリかと思ってたけれど、受かった」
「正直怖かったけれど克服した」
それは、自分で勝ち取った勝利だから、実感していえることなのでしょう。

ちっぽけで、昔のままの、「美術研究所」ですが。
少人数で、ゆっくりやっているところですが。

セイビは、美大受験に挑んでいます。
そして、なによりも、自信をなくしたり、意味不明の劣等感を持つことなく、大学へ、そして社会へと踏み出せる勇気を育てています。




by seibi-seibi | 2019-03-30 10:46 | 芸大 美大受験


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