人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「創りだすこと」について 2

「創りだすこと」について。
たとえばデッサンをめぐって。
絵を描くというのは、結局、モチーフを見て、それを引き写すということです。
どんな解釈をするにしても、良く見て、そこから描くことが基本・根幹になっていると思いますが、いかがでしょうか。モチーフが前提としてあって、それを見て描く。子供から大人まで、巧拙の差こそあれ、その姿勢は変わらないと思います。
「創りだすこと」について 2_f0234596_16274169.jpg

デッサンなど、描いていると分かりますが、思ったよりも上手くいかず、なかなか描けない、皆さん一度は、最初、そういう経験をすると思います。そうすると「なぜ描けないのか」とか「どうしたら上手く描けるのか」と考えるようになります。その解決のために、スケッチしてみたり、描き方を変えてみたりする。それでもすぐには上手くいかない。
そういう時、それはつまりモチーフのありようを、そのまま等身大で理解していないことが多いようです。たとえばりんごを描くとして、りんごをそのまま、はじめて見るかのように素直に見ていれば、おのずと絵がモチーフに接近してくるはずです。もし何か、先入観を持っていて、それがズバリあっていればいいのですが、自分の捉え方に傾いていて、すこし理解が独りよがりだと、自分の考えるりんごが描けてしまいます。
つまりそれが「モチーフを見ているか」「ちゃんと観察しているか」ということなのでしょう。モチーフは、先入観に彩られたわなを仕掛けてきます。わたしはそう考えています。人の観察力を試し、なかなか巧妙にすり抜けてしまう。そうして、人を困らせるのです。デッサンを描いているとき、モチーフは私たちに真の姿を見せないように、「抵抗してくる」のです。私はそう考えています。
「創りだすこと」について 2_f0234596_1629897.jpg

 この「抵抗」に対抗して、本当のモチーフのありように接近するには、何より素直な観察力と、謙虚な姿勢だろうと思います。上手く描こうといった最も烈しい誘惑をしりぞけ、ありのままのモチーフに対峙していくことの中にこそ、デッサンの醍醐味があるのだろうと思います。
ここで何度かあがった「素直」「謙虚」。ものを描き、創りだしていくことの根底にはこの姿勢が大 切なのではないかと、考えています。絵を描いて、デッサンを描いて、モチーフから素直に学べて、そこに面白みや楽しさを見いだせれば、それでいい。また、この謙虚で素直な気持ちを抱きながら「創りだすこと」が、一番大切なのではないかと考えています。つづく。
by seibi-seibi | 2011-04-25 16:12


<< 創りだすこと 3 「創りだすこと」について >>