「計る」ということ。

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 デッサンをしていると、「もっとモチーフをよく見て、計ったほうがいいよ」といった言葉を耳にします。生徒の多くは、頷いて「ハイ」などと元気に返事を返してくれます。さて、この「計る」こと、なかなか難しいものではないでしょうか。それで「計り棒」や「デスケール」といった道具の登場となります。計り棒とは、40センチくらいの金属の棒です。この棒でモチーフのおおまかなプロポーションを計り、把握するわけです。デスケールは格子の入った窓状の計測器です。こちらはプロポーションとともに、構図を決めるのに用いられます。どちらも美大受験生であれば一度は使ったことがあるでしょう。
 この二つの道具は、測るのにかなり有効なのですが、使い方をしっかり知っておかないと思わぬ勘違いを起こしやすいようです。基本は手に持って垂直にして使うこと。また、伸ばした腕の長さを常に一定に保つことです。特にデスケールは要注意です。
 デスケールは、つまり、垂直に立てた窓から外を見ているのに似た状態を作り出す道具です。窓の位置と見る人の位置がしっかりと固定されていないと、見えるもの(モチーフ)の位置関係は変わってしまいます。ですから、原則としてデスケールを持ったらしっかり固定しなくてはならないのです。つまり、デスケールを上手く使いこなすのは、それなりの工夫が必要になります。ここにも、前に話題にした遠近法との連関があるのです。見ている人が静止していて、モチーフとの距離と位置が一定に保たれていること、それが前提となっているのです。
 これは私見ですが、しばらくデッサンをしていて慣れてきたら、過剰にデスケールに頼るのは、いかがなものかと考えています。それより、構図の良し悪しを自分の眼で見極められるようにするほうが、はるかに実際的であろうかと考えます。人の目はかなり正確な計測器具で、慣れてくれば2,3ミリの狂いもたちどころに見抜けるものです。眼を鍛え観察力をアップさせるほうが、本当の意味でのデッサン力につながると思います。
by seibi-seibi | 2010-11-11 15:21 | Comments(0)


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