パルプ雑誌のカバー アメージングストーリーなど

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昨日はノーマン・ロックウェルをめぐって、サタデーイブニングポストの表紙について書きました。アメリカは、ヨーロッパと並んで、20世紀のかなり早くから、雑誌の印刷が盛んだったようです。印刷技術の革新が著しかった20世紀前半の雑誌の中でも、いち早くカラー印刷を採用したのはアメリカなのかもしれません。ポストでも、カラー印刷による広告、写真製版は30年代くらいから見られます。考えてみれば、カタログ通販の草分け的存在であった、シアーズ・ローバックが無料カタログを印刷して、各家庭に配布し、通販で商品販売に乗り出すのは、20世紀の初頭です。(当時のシアーズ社のカタログはモノクロで、エッチングによる商品説明で、写真はほとんど用いられていません。)印刷技術の革新は、そのまま広告の仕方を変えていきます。モノクロ印刷での広告と、カラーでは、見せ方も異なってきます。30年代には多くの雑誌でカラー製版が行われていたのですが、ここに取り上げるのは、そんななかの一冊。いわゆるパルプマガジンです。(1943年6月号)
アメージング・ストーリーズ」は、30年代を中心にして人気を誇った雑誌です。掲載されたのは少年向けの空想小説。今で言うS・Fです。当時は、宇宙狭しと暴れまわる悪漢と、正義の味方・ヒーローの対決を軸とした、スペースオペラがはやっていた時代です。現在で言う銀河英雄伝説のような小説です。当時の少年たちに熱狂的に受け入れられた、スペオペの多くは、ここにあげた、アメージング・ストーリーズから発信されたのでした。
そんな子供向けの雑誌なのですが、アメージングという言葉通りの表紙になっています。今の目で見ると、きわめてチープな絵なのですが、逆に夢が詰まった絵に見えてもきます。レトロフューチャーとでもいうのでしょうか、過去のイラストの中にある未来像とイマジネーションが面白く感じられます。こんな雑誌ですらカラー印刷しているアメリカの印刷技術は、当時の世界でも一歩ぬきんでていたといえましょう。
まだエディトリアルデザインが体系的に確立していなかった当時、パルプ雑誌やカタログの発行とともに、自然とグラフィツクデザインの萌芽となるようなものが醸成されていったのかもしれません。このような印刷技術の革新が一方にあって、それによってデザインについての要請が起こってくる。技術とグラフィックデザインの進歩は、軌を一にして発達してくるのです。
というわけで、次回からは、デザインの潮流を追ってみたいと考えています。
by seibi-seibi | 2010-09-14 13:09 | Comments(0)


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