<   2013年 04月 ( 3 )   > この月の画像一覧

カリフォルニアのスタンバーグ

 現在国立新美術館で展示されている、カリフォルニアデザイン1930-1965・モダンリビングの起源展は、アメリカ・ミッドセンチュリーのデザインを、カリフォルニアという地域からとらえなおさせてくれる好機を与えてくれます。
 1950年代を中心とした時代、戦後の成長期のアメリカで産み出された「ミッドセンチュリーデザイン」。それは豊かなアメリカの象徴として、羨望のまなざしを集めたデザインの潮流でした。カラフルでおおらかなデザインが示していた「アメリカ」は輝いて見えていました。しかし、それがカリフォルニア発であったとは、あまり考えていなかったことに気づかされます。
 L Aなど西海岸の都市特有の気候、-少雨で乾燥している-が生み出した自由な、新奇なものも受け入れる土壌のうえで考えられたデザイン。チャールズ・レイ・イームスやがもたらしたプロダクツの背後に、なくてはならなかったのがカリフォルニアだったのでしょう。

f0234596_9162769.jpg
f0234596_9164384.jpg

 家具や住空間を彩ったさまざまな製品が一堂に介した展示は、ひとつの時代と地域の持っていた、開放的なマインドをよくあらわしています。ファイバーや巨大な一枚ガラスなど新しい素材の登場が、それらのデザインを牽引する契機になったのは言うまでもないのでしょう。と同時に、それらにポップな色彩を与えたデザイナーたちの心性は、アメリカの邁進する未来に、確信を持っていたように感じられます。会場のあちこちに置かれた、イームスの椅子に座って、説明ビデオを見ながら、すわり心地を確認するもよし、テキスタイルや衣服のデザインを愉しむのもよし。ゆっくりと、ゆったりと観るのが良いようです。
f0234596_14172694.jpg


 展示を一通り観ていたら、少し気になる写真を見つけました。建築家リチャード・ノイトラ設計の、「ジョゼフ・フォン・スタンバーグ邸」です。まるで塀の様な窓のない曲面で囲まれた建物。そのまわりには、堀のように巡らされた池が見えます。内部には、外光の元でくつろぐ人物が数名。ビーチにあるようなテーブルと椅子に座っています。スタンバーグといえば「嘆きの天使」「モロッコ」「上海特急」等、マレーネ・デートリッヒを起用し有名にした映画監督です。作風はオーソドックスであるし、なんといってもドイツ映画のスタイルを確立した監督としてのイメージが強い。しかし、彼はドイツ系ユダヤ人で、幼くしてアメリカに移住したハリウッド監督なのでした。ただ、スタンバーグの作品の多くはハリウッドでよりドイツで人気があった。それは「嘆きの天使」によるドイツでの成功によっていたのでしょう。それにしても、ドイツ的な雰囲気を漂わせていたスタンバーグ。その彼の自邸が、非常に合理的で近代的なデザインで、ミッドセンチュリーデザインのひとつとして評価されていることに、かなり違和感を感じたのでした。ハリウッドで成功して、のちにUCLAで教鞭をとったというスタンバーグであってみれば、当然のことだったのかもしれませんが、なにか不思議な感慨に捉われました。
 というのは、つい一月まえ、世田谷美術館の企画展「エドワード・スタイケン写真展・モダン・エイジの光と影1923-1937」において、スタンバーグのポートレートを見る機会があったのです。スタイケンもまた時代の寵児として、ファッション界や映画界と深くコミットしていた写真家でした。そのスタイケンがおそらく人気絶頂期のスタンバーグを撮っているのですが、こちらのポートレートはとても古風な印象で、そんな、モダンな家に住まうとは思えなかったのでした。ミッドセンチュリーから20年も遡った1930年代のスタンバーグは若く、端正な青年のようで、ミッドセンチュリーとは結びつかないように見えたのです。このスタイケンの写真展については、また別の機会に紹介しましょう。
by seibi-seibi | 2013-04-17 09:16 | デザインするって? | Comments(0)

デザインあ展に行く

f0234596_9462227.jpg
春らしくなり、暖かな毎日が続まなか、久しぶりに展示を見にミッドタウンまで行きました。
お目当ては「デザインあ展
前々から気にはなっていたものの、新学期の受け入れ等でなかなかうごけず、今までのばしていたのでした。
NHK Eテレで放送中の教育番組「デザインあ」から生まれた展覧会です。NHKで現在放映されているこの番組は、「デザインってなんだ?」という、分かりそうでよく分からないことを、映像で分かりやすく伝える番組です。今回の展示は、子供たちを対象にデザインマインドをはぐくもうというもの。ディレクションは、佐藤 卓氏、中村勇吾氏、小山田圭吾の三氏。グラフィックデザインの第一線で活躍中のデザイナーによる、分かりやすいデザインへのプレリュードとなっています。
f0234596_1043169.jpg

この展示のキーワードは「デザインマインド」。「こころ」とか「精神」とか訳されるマインド。マインドとはつまり、理性や思考、意思をともなった心の動き全体を指す言葉だと思います。デザインを支えている考え方や捕らえ方を子供たちにも分かりやすく展示しようとする今回の試みは、デザインを考え直すうえでも興味深い示唆を与えてくれています。
f0234596_102283.jpg
f0234596_1021722.jpg

会場を歩いていると、あちこちから「ああ、そういうことかぁ」「おもしろーい」という声と、同時にうれしそうな顔が観られます。。
ある種の気づき、再発見を見出した瞬間の喜びと楽しさに、思わず発せられるフレーズ。このフレーズこそ、もデザインマインドそのものでしょう。人々に再発見を促すこと、新しい価値を見出させること。デザインというものが持つ、基本的な機能が人の考え方を変えた瞬間「ああ、そういうことなのか!」という一言を発せさせるのです。
そして第一に人を喜ばせる。デザインとは、なによりも喜びに向かってディレクションされるものなのだと思い出させてくれる展示になっています。
by seibi-seibi | 2013-04-15 09:47 | デザインするって? | Comments(0)

2013年度 新学期開始しました

早いもので、もう一学期の開始です。
昨日までの悪天候がウソのように
快晴の初日になりました。

2年連続、全員合格。一般入試は全員ゴビダイ。
去年は全員ムサビかタマビ。
今年は一人が造形の油で、残りは全員ムサタマ。
毎年、こんな感じなので、今年も全員合格としたいものです。

と、説明会で話したら
「あれ、プレッシャーなんですけど・・・」って現役生に言われてしまいました。
そんなつもりではなかったんですが・・・。

まあ今年もがんばっていきましょう。
by seibi-seibi | 2013-04-08 13:27 | 芸大 美大受験 | Comments(0)