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針生一郎先生のことなど

美術評論家・文芸評論家の針生一郎氏が2010年5月26日、お亡くなりになりました。ここに謹んでご冥福をお祈りします。針生先生が、戦後日本美術の、とりわけ前衛運動やアヴァンギャルド運動に果たした役割は偉大なものであったと思います。
いまから15年前、セイビが運営するギャラリー、ART ACTの企画として、世田谷美術館の市民ギャラリーにて行った『イマージュの邂逅 ロ・日現代美術交流展』の折、いらしていただき、展示を見ていただきました。抽象絵画といった「反社会的」な芸術活動が禁止されていたソヴィエト。国家による弾圧のもとで、若い画家たちは、公開されるあてのない抽象絵画を描き続けていました。ソヴィエト崩壊後、彼らロシアの画家の作品をさまざまな人々のご尽力のもと、ようやく日本公開にこぎつけた、最初の展示でした。(この経緯についてはこちら)この展示は、針生先生に見ていただきたいと考え、いらしていただいたのです。針生先生の映画も仕上がったときいていましたので、今回の訃報に接し、驚いています。改めてご冥福をお祈りします。
by seibi-seibi | 2010-05-30 09:57 | Comments(0)

受験生対象 大学説明会 美大ってこんなとこ5/28 6時から

今年も大学と学部学科内容についての説明会「美大って、こんなところ」の開催が迫ってきました。今年は5/28(金) 夜6時に開催します。これは、美大の具体的なイメージを理解し、どんなところなのか知ってもらうために行うイベントです。(外部生でも参加は自由です!)
特に現役生には、刺激的な内容です。美大では、実際にどんなことができるのか。何ができるのか。油絵・工芸・デザインなどの各講師から、大学時代のエピソードを交えつつ、熱く語ってもらいます。
皆さんは美大についてどんなイメージをお持ちでしょうか。
「油絵科は絵描きになるのだろう」「グラフィックなら広告をやるのだろう」。皆さんそう考えていませんか。それも正解ではありますが、油絵科に入学してキャメラマンになる人もいるし、版技法で作品作りを始める人もいます。グラフィックに入って、アニメを作る人、映画を作る人。思っても見ないような展開をする人も多いのです。これを知るためには、各学科の卒業制作を見るのが一番です。4年間で何をしてきたのか、その集大成なわけですから。
卒業後の進路についてもさまざまです。美大の学生は、各学科で教えられることと、自分で見出し発展させること、この二つを両輪にして学んでいます。ですから、各学科のリアルな内容を知ると「えっ、これも視デでやっているんだ」とか「工デってこんな進路が考えられるんだ」と、驚くはずです。「美大って、こんなにオモシロイんだ」と思ってくれるとよいと考えています。
by seibi-seibi | 2010-05-26 18:29 | 芸大 美大受験 | Comments(0)

女子美説明会に行く


5月21日、女子美の説明会に行きました。
今年は女子美も110周年だそうです。
110周年って、芸大に次いで古い学校ということ。
今年は在校生インタビューもあり、生徒の様子と生の声を感じられて良かったと思います。
受験についての詳細は、こちらを見てください。
by seibi-seibi | 2010-05-24 13:40 | 芸大 美大受験 | Comments(0)

ルーシー・リー展に行きました


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国立新美術館で現在展示している、「ルーシー・リー展」に行きました。
ルーシー・リーは1920年代から活躍したイギリスの陶芸家です。光芒の1920年代、ウィーンで暮らした彼女は、当時ウィーンが持っていた特有の文化の中、陶芸を習得し、バウハウスの機能主義などに影響されながら、しかし、彼女らしいうつわの世界を造り出しました。
彼女は、薄く、繊細に作られたうつわに、微妙な歪みを与えることで、非対称の美しさを引き出していきます。今回の展示ではじめて彼女の作品を見ましたが、造形としての美と、色彩感覚に驚かされました。陶芸をやった方ならば、釉薬つくりの苦労は分かると思いますが、彼女の釉薬ノートからは、薬との試行錯誤の過程が読み取れ興味深いです。釉薬は、たとえ一度うまくいっても、次回も同じ色がでるとは限りません。それが醍醐味でもあるし苦労でもあるわけです。早くから電気窯を使用しているようなので、コントロールはしやすかっただろうと推測しますが、簡単ではなかったはず。
彼女はまた、ボタンの製作も手がけています。石油由来のプラスチックの本格実用は戦後になってからなので、資源不足の中要請があったのでしょう。ボタンは石膏型を作って、型抜き技法で量産したようです。この石膏型は、ちょっと曲者で、型から粘土を取り出そうとすると、はりついてなかなか取り出せないことがあります。それで小麦粉など粉を振りかけておいたり、苦心するのですが、彼女もそんなことをしていたのでしょうか。なにはともあれ、そのボタンの美しいこと。ゴディバチョコを彷彿とする、見事な展示にも脱帽です。
プロダクトデザインとしてみても良いし、工芸品として見てもすばらしい。いちど足を運んでみたください。
by seibi-seibi | 2010-05-21 19:04 | Comments(0)

平面構成 基礎演習

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セイビでは、高3から美大受験カリキュラムになります。そこで4月、5月は本当に基本的なことからやっていきます。平面構成では、色彩の理解と用具の用い方が基本になります。今回はそんな演習課題から一点。簡単な立方体と円柱を色彩で再現する課題です。一番右のが少し手間でしょうか。透明な感じを出すこと、これ以外と難しいです。考えるだけでなく普段の観察ができていないと再現できないのです。
by seibi-seibi | 2010-05-20 12:49 | 芸大 美大受験 | Comments(0)

美大からのお知らせ 武蔵野美術大学 ムサビ 

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少し前に届いていた、ムサビ オープンキャンパスの案内です。

詳細については、こちらまで。(掲載にあたって正確を期しますが、各大学のサイトなどでかならず確認してください)



武蔵野美術大学 OPEN CAMPUS 2010
期日 2010年6月12日(土)10時から6時まで
    2010年6月13日(日)10時から4時30分まで


武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス

各学科ごとにイベント、公開授業、学生との懇談など、多分見切れないくらいの内容となるようです。こういう機会に、美大の中を見て、探検してみてください。自分の足で歩いて確認したことほど、実感があるものはないです。多分食堂も開いていたりしますから、MAUランチとか食べてみるのもいいし、ムサビ猫たちに出会うのも一興でしょう。武蔵野台地の新緑もまぶしい時期なので、鷹の台まで玉川上水沿いを闊歩するの足どりも軽くなるかも。「来年受かったら、この道を歩くのだ」と想像してみるだけでもウキウキするでしょう。
by seibi-seibi | 2010-05-20 12:34 | 美大学校案内など | Comments(0)

美大からのお知らせ 多摩美 工芸学科  

多摩美から案内が来ましたので、ご案内します。
詳しいこと(正確なお知らせ)は、こちらまで(掲載にあたって正確を期していきますが、誤りがあると申し訳ないので、各大学のサイトなどでかならず確認してください)

多摩美術大学 工芸学科見学会  製作現場はどんな感じ?

2010年6月5日 土曜日 午後二時より八王子校舎工芸棟15-201

来年受験を考えている方は、見に行くといいですよ。
工芸科の設備と道具を見てしまうと、やりたくなるでしょうし
何ができてしまうのかわかるので、とてもいいのではないでしょうか。
ガラス製作なんて、そりゃあ迫力あると思いますよ。
by seibi-seibi | 2010-05-19 12:22 | 美大学校案内など | Comments(0)

芸大 美大受験 進路について

今回は、芸大 美大受験生に向けて、進路のはなし。
5月。みなさんは現時点で、油絵、デザイン 工芸など、志望は定まっていますか。
「もうはっきり、しっかり定まっている、なにも迷いはない」、と、言い切れる浪人生や、意志の固い人は、それで結構です。
ここではおもに現役生に向けて書きます。
毎年、志望を聞いていて思うことなのですが、先入観やイメージで志望を決めている人が多いようです。

1 とりあえず「多摩グラ」や「視デ」、あるいは「芸大!」

油絵科、工芸科などでは、「とにかく絵が好き。モノが造りたい」ので行こうという人が多く、途中で変わることは少ない。油絵が嫌いで油絵科受ける人はまずいない。
ただ、デザイン科となると話が異なってきます。デザイン科の中にはいろんなコースがあって、そのどれがいいのか、よく分からないからです。多様化するニーズに対応して、「情報」「環境」「メディア」等の学科ができて10年あまり。高校生にとって、その学科が何をしているところで、自分はどこに行ったら一番なのか、分かりづらくなっています。
それで、よく知られている「多摩グラ」や「視デ」を選ぶ。そんな人が多いのでは・・・。
志望を決めるにあたって、まずしてほしいことは、各学科の案内や卒制作品集などを良く見ることでしょうか。ただ知られている学科だからといって、自分に合っているとは限りません。まずは、自分なりに主体的に動き、こんな内容だから「私は、ぼくは合格したい」と考えてほしい。そういった受験生は、しぜんとやる気になります。
「倍率」「大学名」などだけを頼りに志望校探しをしてしまう、そういう傾向はいつの時代も同様ですが、自分の志望、やりたいことと、キチンと向き合って考えてほしいものです。

2 美大受験直前まで、志望がゆれている人がいる。

美大受験は各学科・コースで試験内容が異なるので、受験直前での、志望の変更はリスクを伴います。それでも器用な人は受かりますから、一概にダメとは言いません。ただ、「工デ」から「空間演出」とかに変えた場合、立体構成試験に対応しなくてはならなくなり、忙しさと覚えることは倍になります。最初から両方受けると決まっていれば、受かるだけのカリキュラムを考えますから問題ないのですが、直前変更は大変です。
できれば早めに志望を絞ってゆけたらと思います。
セイビではそれでも、かなり直前からの志望変更にも対応し、合格していますが、やはりタイヘンですね。

こうしてかんがえてみると、「志望選び」とは、「自分発見」への道なのです。
「私は何になりたいの?」「どんなことが好きなの?」「夢中になれるのって何?」こうした問いのなかに、志望が隠されているのです。私たち講師も、何度か面接したり、雑談したりしながら、その人の向いているものを模索します。けれど、皆さん自身の心の中にある「本当にしたいこと」は、自分自身にしか気づけないものです。それを探して、見つかったら離さないでください、ぜったいに。
by seibi-seibi | 2010-05-17 18:43 | 芸大 美大受験 | Comments(0)

テンペラ画について

前回、ノルシュテイン展で見出した「テンペラ」。あまり馴染みのない言葉かもしれませんね。テンペラ画・技法は、油彩に先立って、ヨーロッパで用いられていた絵具です。中世を通じてポピュラーな画材だったのですが、ルネサンスに入って、油彩画・油彩技術が一般化してくるにつれ、次第に衰退していったようです。ボッチェルリの作品など、ルネサンスに入ってからも用いられていますが、マチェールも加えられる上に、乾燥が遅いなど油彩の利点が知られるようになると、画家たちは好んで油彩を試しはじめます。
テンペラは、一種の水彩技法です。もっとも特徴的なのは、メディウムに鶏卵を使うこと。皆さんも卵のついた皿を放置すると、こびりついて取れないという経験があるのではないでしょうか。卵は固まると強力な接着剤になるのです。この卵と顔料と水を混ぜて、練り上げて絵具を作ります。そう、テンペラ絵具は自分で作れるのです。
f0234596_9285477.jpgこの写真はセイビでのテンペラ実習のひとこまです。絵皿に入っているのがテンペラ絵具です。真ん中の瓶の中に、黄色い卵の黄身が見えます。これを混ぜてゆくのです。

f0234596_9325977.jpg描いているのはワイエス「ヘルガ」の模写です。ワイエスは現代では珍しくテンペラを用いる画家です。模写なので、忠実に写し取っていますが、ワイエスの超絶技法は圧倒的で、なかなか模写しずらく、かなり大変でした。ちなみに描いている支持体は、綿布をニカワ張りした木版で、下地処理も出来ています。この支持体作りも演習しますが、完成まで一週間くらいかかりました。

f0234596_9413023.jpg水彩なので、面相筆や水彩用彩色筆などをもちいます。
ハッチングを多用しながら、何度も重ね、少しづつ完成に向かうので、時間と根気が必要です。テンペラは完成すると、非常に強固な表面を作れるので、耐久力は油彩より良いとさえ言われています。中世の作例を見ると、画面の劣化よりも先に、木版が湾曲したり割れて、剥離し亀裂が走っている絵が多いようです。
セイビでは、油絵科の細密演習として、テンペラを学びますが、今回は一般の方です。
by seibi-seibi | 2010-05-14 09:52 | Comments(0)

ロシアアニメーションの巨匠 ノルシュテイン&ヤールブソワ展に行く


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GWのさなか、「ロシアアニメーションの巨匠 ノルシュテイン&ヤールブソワ展」を見に、神奈川県立近代美術館 葉山館に行きました。セイビは世田谷にあるので、葉山までというのは、じつに遠足みたいな道のりになります。そこまでして行ったのには、朝から天気快晴で、海が見たくなったのも動機になっています。
アニメ好きな方ならばノルシュテインの名は一度ならず聞いているか、作品を見ていることと思います。すべて手作りで一つ一つ描き上げ、完成まで短くても数年もかけて撮影された彼の作品は、なんと暖かさに満ち、清楚な美しさをたたえているのでしょう。今回の展示では、新しく描きなおされた、各作品のエスキースやコラージュ、マケット、そして何より完成が期待され続けている「外套」のための夥しいスケッチが紹介され、おそらく過去にない体系的な紹介となっています。
わたしが彼の名を知ったのは1983年、宮崎駿氏の紹介文でしたから、もう25年以上経つわけです。宮崎氏の文章に接したときはまだ、フィルムは見ておらず、それから数年して観たときの、身震いするような驚きは忘れられません。ソヴィエトにはこんなものを作ってしまう人がいるのか。だいいち、どうやって撮影しているのか分からないし。そしてなんという優しさと、大地と緑の香りに満ち満ちていることか・・・。不思議なキリル文字とともに「ノルシュテイン」の名は脳裏に刻まれたのでした。
現在ではDVDも出て、かなりメジャーになりましたが、改めてエスキースを見ると、彼が、手と眼と頭で考え抜いているのがよくわかります。何度も描いて、描きなおして、また少しづつ変化させていく。顔の表情や手の動き一つとっても、繰り返し何度も描いている。描くこと、創りだすこと。やはり創造性とはそういう地道な試行錯誤の繰り返しのなかから、砂金の粒のようにやっと一粒にまとまって光り輝くものなのだと、考えさせられます。
今回エスキースを見て、「ノルシュテイン」らしい色彩に感銘を受けましたが、描画材料はテンペラ・水彩となっています。これを見て膝をたたくような思いがしました。というのは、テンペラ絵具はロシアではポピュラーな画材なのです。ソヴィエト時代、ロシアではアクリル絵具よりもテンペラを使うのが普通だったようです。国内に絵具の生産工場が限られ、ほとんどはテンペラ絵具を作っているというのが理由だったのですが、この絵具は深みのある、落ち着いた色合いを表現するのに向いています。ノルシュテインの作品を見ていて感じた、土っぽさの源はテンペラだったのかもしれないと、今回の展示で考えました。
東京からだとちょっとした旅行になりますが、これからアニメを作りたい人、好きな人には特にオススメする展示です。
by seibi-seibi | 2010-05-12 14:03 | Comments(0)