大切なことは 1

二学期が始まって一週間。
夏の喧騒も静まり、涼風も吹き、気持も変わってくる時期です。

さて、この夏は、「デザイン」という単語が、マスコミを騒がせました。
近年これほどの期間、「デザイン」について巷間で語られたのは、初めてではないでしょうか。

メディアを通じて語られた、さまざまな「問題」について、
ことさら新たに議論をする必要は、すくなくてもここでは、ないとおもっています。

それよりも、いまここで、もう少し深く、「作り出すこと」について考えてみたいとおもいます。



 1 見ること 観察すること

 セイビでは「見る」「観察する」ことが、描き、作り出すことの基本とかんがえています。
 ひとりひとりの眼で、瞳に写るものを、見て、観察してゆく。
 この作業をしていくなかで、感覚も研ぎ澄まされ、洞察力が養われる、とかんがえるからです。
 自分の眼前にある世界と向き合い、じぶんの全神経を集中して観察する。
 ここから得られる情報は、自分の力で獲得したものです。
 実感があるはずです。
 おのずとそれは、説得力を持つはずです。

 「観察」は、現実を身を持って知ろうとする思考のプロセスです。
 このプロセスをベースにして描いていく。あるいは作り出していく。
 それが創造することの根源だと考えるからです。

 観察して描いたもの・作り出したものが、すべて上手く、手際よくまとまることはありません。
 当然、失敗もあるでしょう。
 しかしそれでも、みずから観察した実感、考えた過程は次の創作に生きてくるはずです。

 2 実感にウソはない

 近年、インターネット、ゲームなどの発展により、現実感がとぼしい「仮想世界」が拡大し、
 現実なのか、仮想なのかの境界があいまいに感じられています。
 言い換えれば、実感のない現実と向き合って生きて行かざるを得ない社会になっています。
 実感を持った経験の蓄積ではない、ヴァーチャルな現実。
 もはや実感なんぞ、気恥ずかしいことのようですらある。

 けれども、実感は、ホントウのことであり、それは現実認識の基本です。
 実感には嘘がない。
 それが本物なのか、偽者なのか、
 ホントウなのか、虚構なのか、
 実感はその違いを教えてくれます。

 描くとき、あるいは物を作るとき、技術の巧拙を語るより前に、まずは自分で実感を持って取り組む。
 それが、もっとも大切だと考えています。
 セイビでデッサン、油絵、彫刻、平面構成を始めた中・高校生たちに、
 実感を持って作り出すことを忘れないでほしいとかんがえています。
 
 予備校は、これから進む美術の、初めの一歩になります。
 その段階では、少なくとも借り物ではない、自分自身が感じる、
 実感を積み重ねておいてほしいのです。
 
 つづく
  
by seibi-seibi | 2015-09-03 19:47 | 芸大 美大受験 | Comments(0)


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