テンペラ画について

前回、ノルシュテイン展で見出した「テンペラ」。あまり馴染みのない言葉かもしれませんね。テンペラ画・技法は、油彩に先立って、ヨーロッパで用いられていた絵具です。中世を通じてポピュラーな画材だったのですが、ルネサンスに入って、油彩画・油彩技術が一般化してくるにつれ、次第に衰退していったようです。ボッチェルリの作品など、ルネサンスに入ってからも用いられていますが、マチェールも加えられる上に、乾燥が遅いなど油彩の利点が知られるようになると、画家たちは好んで油彩を試しはじめます。
テンペラは、一種の水彩技法です。もっとも特徴的なのは、メディウムに鶏卵を使うこと。皆さんも卵のついた皿を放置すると、こびりついて取れないという経験があるのではないでしょうか。卵は固まると強力な接着剤になるのです。この卵と顔料と水を混ぜて、練り上げて絵具を作ります。そう、テンペラ絵具は自分で作れるのです。
f0234596_9285477.jpgこの写真はセイビでのテンペラ実習のひとこまです。絵皿に入っているのがテンペラ絵具です。真ん中の瓶の中に、黄色い卵の黄身が見えます。これを混ぜてゆくのです。

f0234596_9325977.jpg描いているのはワイエス「ヘルガ」の模写です。ワイエスは現代では珍しくテンペラを用いる画家です。模写なので、忠実に写し取っていますが、ワイエスの超絶技法は圧倒的で、なかなか模写しずらく、かなり大変でした。ちなみに描いている支持体は、綿布をニカワ張りした木版で、下地処理も出来ています。この支持体作りも演習しますが、完成まで一週間くらいかかりました。

f0234596_9413023.jpg水彩なので、面相筆や水彩用彩色筆などをもちいます。
ハッチングを多用しながら、何度も重ね、少しづつ完成に向かうので、時間と根気が必要です。テンペラは完成すると、非常に強固な表面を作れるので、耐久力は油彩より良いとさえ言われています。中世の作例を見ると、画面の劣化よりも先に、木版が湾曲したり割れて、剥離し亀裂が走っている絵が多いようです。
セイビでは、油絵科の細密演習として、テンペラを学びますが、今回は一般の方です。
by seibi-seibi | 2010-05-14 09:52 | Comments(0)


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