ロシアアニメーションの巨匠 ノルシュテイン&ヤールブソワ展に行く


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GWのさなか、「ロシアアニメーションの巨匠 ノルシュテイン&ヤールブソワ展」を見に、神奈川県立近代美術館 葉山館に行きました。セイビは世田谷にあるので、葉山までというのは、じつに遠足みたいな道のりになります。そこまでして行ったのには、朝から天気快晴で、海が見たくなったのも動機になっています。
アニメ好きな方ならばノルシュテインの名は一度ならず聞いているか、作品を見ていることと思います。すべて手作りで一つ一つ描き上げ、完成まで短くても数年もかけて撮影された彼の作品は、なんと暖かさに満ち、清楚な美しさをたたえているのでしょう。今回の展示では、新しく描きなおされた、各作品のエスキースやコラージュ、マケット、そして何より完成が期待され続けている「外套」のための夥しいスケッチが紹介され、おそらく過去にない体系的な紹介となっています。
わたしが彼の名を知ったのは1983年、宮崎駿氏の紹介文でしたから、もう25年以上経つわけです。宮崎氏の文章に接したときはまだ、フィルムは見ておらず、それから数年して観たときの、身震いするような驚きは忘れられません。ソヴィエトにはこんなものを作ってしまう人がいるのか。だいいち、どうやって撮影しているのか分からないし。そしてなんという優しさと、大地と緑の香りに満ち満ちていることか・・・。不思議なキリル文字とともに「ノルシュテイン」の名は脳裏に刻まれたのでした。
現在ではDVDも出て、かなりメジャーになりましたが、改めてエスキースを見ると、彼が、手と眼と頭で考え抜いているのがよくわかります。何度も描いて、描きなおして、また少しづつ変化させていく。顔の表情や手の動き一つとっても、繰り返し何度も描いている。描くこと、創りだすこと。やはり創造性とはそういう地道な試行錯誤の繰り返しのなかから、砂金の粒のようにやっと一粒にまとまって光り輝くものなのだと、考えさせられます。
今回エスキースを見て、「ノルシュテイン」らしい色彩に感銘を受けましたが、描画材料はテンペラ・水彩となっています。これを見て膝をたたくような思いがしました。というのは、テンペラ絵具はロシアではポピュラーな画材なのです。ソヴィエト時代、ロシアではアクリル絵具よりもテンペラを使うのが普通だったようです。国内に絵具の生産工場が限られ、ほとんどはテンペラ絵具を作っているというのが理由だったのですが、この絵具は深みのある、落ち着いた色合いを表現するのに向いています。ノルシュテインの作品を見ていて感じた、土っぽさの源はテンペラだったのかもしれないと、今回の展示で考えました。
東京からだとちょっとした旅行になりますが、これからアニメを作りたい人、好きな人には特にオススメする展示です。
by seibi-seibi | 2010-05-12 14:03 | Comments(0)


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